債務整理をしたことがあるけど、起業ってできるの?
起業にかかる資金の融資はしてもらえる?
債務整理で人生をリスタートした方の中には、新たな目標を見つけ、起業を目指される方もいるかと思います。
この記事では、債務整理経験者が起業できるのか、起業する際に注意点はあるのかについて詳しく解説していきます。
- 債務整理後でも起業は可能
- 自己破産経験ありでも株式会社の代表になれる
- 債務整理中でも起業できる
- 注意点:融資が一定期間受けられない、自己破産中の職種制限、起業のタイミング、2度目の自己破産の免責は難しい
債務整理後の起業は可能
どの債務整理でもその後に起業できる
債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3種類がありますが、いずれの方法をとっても手続き後に起業することは可能です。
債務整理をした人が起業できないという決まりはありません。
債務整理はあくまで、債務者の負債を整理する手続きです。
将来的な債務者の起業を制限するといったことはありません。
ちなみに現在の法律では、自己破産の経験がある人でも株式会社の代表になることができます。
債務整理中でも起業できないことはない
考えにくいケースですが、債務整理中に起業することも理論上は可能です。
ただし起業には一定のお金がかかるので、債務整理をする状態で起業することは考えにくいでしょう。
債務整理後に起業するときの注意点
金融機関やカード会社の融資が一定期間受けられない
債務整理をすると、金融機関やカード会社からの融資が一定期間受けられなくなります。
これは債務整理をした履歴が信用情報機関に「事故情報」として登録されるからです。
金融機関やカード会社は信用情報機関の個人情報を借り入れや融資の審査に用いています。
そのため債務整理の履歴があると、審査に通らなくなってしまうのです。
ただし信用情報機関の事故情報は一定期間で消去されます。
事故情報が消去されるのは債務整理の方法によって異なります。
- 任意整理…約5年
- 個人再生…約7年
- 自己破産…約10年
起業をする際には元手となるお金が必要です。
融資が受けられないとなると、自己資金で会社を運営していくしかありません。
そのため債務整理直後に起業するには、資金調達がネックとなります。
日本政策金融公庫からの融資が一定期間受けられない
日本政策金融公庫もまた、信用情報機関の情報をもとに融資を行います。
そのため、金融機関やカード会社と同様に一定期間は融資が受けられません。
日本政策金融公庫ではCICという信用情報機関の情報を参照しています。
CICの事故情報掲載期間は以下の通りです。
- 61日以上の支払い延滞…完済から5年
- 債務整理…完済から5年
- 自己破産…免責から7年
上記の期間は日本政策金融公庫から融資を受けることはできません。
起業をするときには日本政策金融公庫から融資を受ける方が多いですが、債務整理をするとこの機関からの融資も受けられないというデメリットがあります。
ただし上記の期間を過ぎ、事故情報が消去されれば再び融資は受けられるようになります。
債務整理をした会社からは融資を受けられない
債務整理をした相手の会社からは、期限を問わず融資や借り入れを受けることができないケースがほとんどです。
信用情報機関の事故情報は一定期間で消去されます。
しかし債務整理の対象となった会社は、自社独自のデータに事故情報を残しておくことがほとんど。
そのため信用情報機関の情報に関わらず、その先ずっと審査が通らないことがあります。
会社の資金調達をするにあたり、債務整理の対象となった会社からは融資が受けられないことに注意しましょう。
自己破産をした後は職種に制限がある
債務整理の中でも自己破産の場合、免責がおりるまでの間取得できる資格に制限がかかります。
自己破産の手続き中に資格を取り、手続き終了後すぐに起業しようと考えている場合は注意が必要です。
資格取得が制限される職種は以下の通りです。
司法書士・行政書士・弁護士・医師・土地家屋調査士・税理士・中小企業診断士・社会保険労務士・弁理士・通関士・宅地建物取引士・中小企業診断士・旅行業・宅建業・マンション管理業・NPO法人・損害保険代理店・警備業・貸金業・質屋・風俗業・廃棄物処理業・NPO役員
これらの職業に必要な資格は、自己破産手続き中には取得することができません。
また既にこれらの職業に就いている場合は、一定期間資格を失ってしまいます。
ただし一定期間を過ぎれば、「復権」となり、上記の職業に就くことが可能です。
どうしてもこうした職業で起業する予定なら、「復権」を待つしかありません。
自己破産で起業する時期に注意
自己破産の場合、起業するタイミングによっては、役員を退任しなくてはいけないこともあります。
自己破産は、「債権者の保護」という視点で手続きが行われます。
そのため債務者が債務から逃れようとしたり、財産を少なく見積もったりしている疑いがあると、破産手続きで不利になってしまう可能性があるのです。
例えば起業した直後に自らの自己破産をする場合。
この場合は自己破産を始めるタイミングですぐに役員から退任となります。
もしくは、自己破産を始める直前に起業をした場合です。
このケースでは、財産を隠していることが疑われてしまいます。
この場合、「詐欺破産罪」に問われることもあり、代表者が責任を取らなくてはいけないケースもあります。
タイミングによっては結果的に自身のデメリットに繋がってしまうので、注意しましょう。
2回目の自己破産は免責されないケースがある
自己破産は借金を0円にする、つまり免責の手続きです。
しかし2回目の自己破産では、免責されない場合があります。
自己破産の後に起業するということは、再び自己破産をするリスクを負うことでもあります。
起業はできても、その会社が軌道に乗って黒字を出し続けられるとは限りません。
ときには業績が悪くなることもあるでしょう。
会社の代表になるということは、こうした業績の責任を負うということです。
会社が赤字になれば倒産となり、自己破産をすることはできても、2度目となると免責されないリスクがあります。
そのため自己破産後に起業をする場合は資金の融資元を確保するなど、万が一の時に備えて十分な準備が必要です。
まとめ
債務整理後でも起業することは可能です。
基本的に自己破産後でも株式会社の代表になることが可能で、起業を行う上で、債務整理を理由に制限されることはありません。
しかし、債務整理から5〜10年はブラックリスト上に掲載され、融資の審査に通過することが難しくなるので、注意が必要です。