債務整理

奨学金が払えない。債務整理はできる?

奨学金

奨学金が払えなくて、苦労していませんか?

もし何らかの理由で支払いが難しくなった時は、滞納をせず奨学金の債務整理などを考えましょう。

この記事では奨学金が払えなくなったときにするべき債務整理を注意するべき点などを踏まえてそれぞれのメリット・デメリットを徹底解説していきます。

奨学金を債務整理しようと考えている方は、一度この記事を読んでメリット・デメリットを理解した上で検討してみてください。

 

この記事をまとめると
  • 奨学金も債務整理ができる
  • 奨学金を債務整理するときに気をつけること:人的保証か機関保証かを確認する、元々低金利のため任意整理は難しい

 

頭を抱える男性

奨学金の支払いが困難な場合は債務整理ができる

奨学金を借りた学生の多くは、卒業後から支払いが始まります。

もし何らかの理由で支払いが難しくなった時は、滞納をせず奨学金の債務整理などを考えましょう。 

 

2019年のデータによると、大学に通う学生の2.7人に1人は何らかの奨学金を利用していて、その多くは JASSO( 日本学生支援機構)から借りています。

就職後に返済を始めるものの、様々な事情で3か月以上滞納してしまう人が15万人以上いるのです。

奨学金を滞納すると、3ヶ月までは JASSOから電話やメールで催促が来ます。

延滞が4ヶ月を過ぎると債権回収会社に対応が移りますが、ここでは返還期限猶予制度などを利用した返済方法の見直しを提案してくれます。

万が一これらを放置して延滞を続けてしまうと、支払催促の法的措置へ移行してしまうのです。

 

延滞から法的措置への移行まではおよそ9ヶ月間です。

払えないからと言ってそのままにしておくことは絶対に避けなければなりません。

なぜなら連帯保証人をつけている場合、長期間支払いが滞ってしまうと連帯保証人に返済の一括請求が行きます。

最悪の場合、親子で自己破産という結果になりかねないのです。

そのため、奨学金の支払いが難しいときは早めに相談を受けることが大切です。

まずは返還期限猶予制度の利用を考えるべきですが、どうしても無理なときは債務整理を視野に入れて弁護士に相談しましょう。

 

奨学金についている保証人は誰?

奨学金の債務整理を考える時、最も重要になるのが保証人を誰にしているかという点です。

奨学金を受ける時には必ず保証(人)をつけますが、2つの選択肢があります。

  • 人的保証
  • 機関保証

人的保証は奨学金を借りる際に、連帯保証人(原則父か母)と保証人(4親等以内の生計が別の親族)の2名を準備します。

機関保証は日本国際教育支援協会に保証料を支払い、保証人の代わりになってもらうものです。

もし人的保証で奨学金を借りている場合、債務整理をすると連帯保証人や保証人、つまり親族に支払い義務が移ります。

できるだけそのような事態を避けるため、債務整理の方法は慎重に選ぶ必要があるのです。

一方で機関保証なら家族や親族に迷惑をかけることなく債務整理を進めることが可能です。

 

奨学金の債務整理は、自分にとってのメリットだけを考えてはいけません。

親や親族などを巻き込んでしまい、場合によっては親や親族も債務整理をしなければならないことがあります。

奨学金の保証は誰なのかをしっかりと把握しておくことは重要なのです。

 

奨学金の「任意整理」は難しい

一般的な債務整理は、主に任意整理・個人再生・自己破産です。

しかし奨学金は任意整理が難しいといわれています。

 

  • もともと低金利なので利息カットのメリットがない
  • JASSOは任意整理に応じない

 

以上のような理由です。

 

特に JASSOは、元本の減額だけでなく延滞金の免除も行いません。

 

任意整理は貸金業者と直接交渉し、借り入れの減額や利息カットなどを行う債務整理方法です。

JASSOが初めから任意整理を受け付けないという姿勢である以上、奨学金の債務整理は任意整理以外の方法を模索するほうが妥当です。

 

ただ、奨学金以外にも借り入れがある場合、そこを任意整理するメリットはあります。

ほかの借金返済を楽にすることで、奨学金の支払いがしやすくなるからです。

この方法なら保証人に迷惑をかけることもないため、複数の借り入れがある人は奨学金以外を任意整理することも視野に入れておきましょう。

 

個人再生による奨学金の債務整理

個人再生による債務整理で重要なのは、保証人の有無です。

 

個人再生をすると奨学金の借り入れを5分の1まで減らせます。

残債が5分の1になれば、日々の生活はずいぶんと楽になるでしょう。

しかし人的保証で借りていると、本人の奨学金返済額は減額や免除をしてもらえますが、連帯保証人や保証人についてはその対象となりません。

仮に本人の残債が5分の1になったとしても、残りの分は連帯保証人や保証人に一括請求(保証人は2分の1に減額可)が行くのです。

特に奨学金の債務整理を親に伝えていなかった場合、急な支払い請求通知書が親に届くことになり新たなトラブルが勃発することも少なくありません。

人的保証で奨学金を借りているときは、個人再生をする前に連帯保証人や保証人と相談し、今後の返済計画についてよく話し合っておきましょう。

 

ただし機関保証の場合はこうした心配はありません。

個人再生を選ぶもうひとつのメリットは、マイホームを手放さなくてもよい点です。

奨学金を借りている人の中には就職後、結婚してマイホームを持つ人もいます。

この場合、住宅ローンと奨学金の返済がダブルになり、支払いに困窮してしまうパターンがあります。

個人再生では「住宅資金特別条項」と呼ばれる制度を利用して、マイホームを手放さずに債務整理も可能です。

 

自己破産による奨学金の債務整理

裁判所奨学金を自己破産によって債務整理する最大のメリットは、奨学金の残債がゼロになるという点です。

ほかにも借り入れがある場合、借金すべてが免責対象となり支払い義務がなくなります。

ただし所有している不動産・車・100万円以上の預金などは没収され返済に充てられます。

それでも必要最低限の家財等は手元に残るので、新しく人生をやり直すことは可能です。

 

しかし奨学金を人的保証で借りている場合は注意が必要です。

自己破産をすると、奨学金の残債が連帯保証人に一括請求されます。

もし自己破産の申請を検討しているときは、まず連帯保証人と今後のことを話し合いましょう。

機関保証はこうした心配は無用です。

まとめ

奨学金は債務整理をすることが可能ですが、もし人的保証で奨学金を借りている場合、債務整理をすると連帯保証人や保証人、つまり親族に支払い義務が移ってしまうので、注意が必要です。

奨学金を債務整理するときは、保証人の確認をしたのち、連帯保証人や保証人と相談し、今後の返済計画についてよく話し合っておきましょう。