債務整理

債務整理による転職への影響は?

履歴書

債務整理をしても転職はできる?

債務整理経験のある方は、転職活動をする際に影響がでてしまうのではないかと不安になりますよね。

この記事では債務整理による転職活動への影響を解説しながら、制限のある職業、制限のかかる期間についても紹介していきます。

面接・選考のタイミングで債務整理を報告するべきなのか、などについても説明していきますので、是非参考にしてみてください。

 

この記事をまとめると
  • 自己破産のみ職業・資格の制限がある
  • 制限のある職業:一定の士業、警備員、金融機関等の役員を含む数十種類の職業・スキル
  • 制限がかかる期間:手続き開始〜免責許可決定(3ヶ月〜1年)
  • 債務整理を面接で伝える必要はない

債務整理によって転職に影響があるのか?

債務整理をすることで、転職活動をする際に悪影響があるのかどうかということですが、結論から言うと、影響は極めて限定的であると言えます。

こちらでは、段階別に債務整理の影響を説明いたします。

 

職業選択の段階

債務整理をした方、これからする方が転職を考えるときに、まず前提条件として、就くことができる職業に制限がある、ということを正しく理解する必要があります。

債務整理には任意整理・個人再生・自己破産などの方法がありますが、職業・資格の制限が課されるのは自己破産のみです。破産手続きの開始決定がなされると、

  • 弁護士、公認会計士、税理士、司法書士などの一定の士業
  • 警備員
  • 金融機関等の役員

これらを含む数十種類の職業・資格に就くことができなくなります。

しかし、誤解をされている方も多いですが、一度自己破産をすると永久に資格制限があるということではありません。

自己破産の手続きは、破産手続きが開始された後、破産手続きの終結を経て、免責許可決定という流れで進みますが、資格制限は免責許可決定が確定したときまでしか効力がありません

この期間は一般的には、短くて3ヶ月、長くて1年程度ですので、上記職業に就けない期間はかなり限られた期間であると言えます。

 

履歴書・面接段階

面接

債務整理したことを履歴書に書くべきか、面接の際に伝えるべきか悩まれる方は多いと思います。

結論から申し上げますと、「こちらから言う必要はない。」ということになります。

債務整理の過去は、かなり高いレベルの個人情報になります。

離婚歴や信仰する宗教を開示する必要がないのと同じように、債務整理を行った事実について履歴書に記載する必要はありませんし、面接の際にもこちらから伝える必要はありません。

会社に応募する際に、債務整理の事実を隠してはいけないという法律は存在しないのです。

ただし、もし万が一履歴書に債務整理の有無を記入する欄があったり、面接で直接に債務整理の有無を質問されたりした場合には、嘘をつくことは避けるべきでしょう。

そのようなことを聞く会社はほとんどないとは思いますが、直接質問された場合には、答える答えないは個人の自由として、虚偽の事実を伝えることは就職後に発覚した場合にトラブルになる可能性があります。

 

選考・審査段階

応募者側から債務整理の事実を伝える必要はありませんが、会社側が選考に際して応募者の審査をすることはあるでしょう。

どのような場合に、債務整理の事実が調べられてしまう可能性があるか検討していきたいと思います。

 

ブラックリスト

ビジネスマン

債務整理をすると、貸した側としては、貸したお金が返済されなかったり減額されてしまったりするため大きな不利益となります。

そのような場合には、債務整理をした方は信用に問題ありと判断され、信用情報に事故情報として債務整理の事実を記録されてしまいます。

この状態が俗にいう「ブラックリストに載る。」というものです。

転職をする際に、会社側がこのブラックリストを確認して、債務整理の事実が知られてしまうのではないかと心配される方もいますが、そのようなことはありません

信用情報は、CICなどといった信用情報機関が管理をしていますが、情報をチェックできるのは、これらの機関に加盟している会社(主に金融機関やクレジットカード会社など)だけです。

また、信用情報をチェックできる目的も、与信審査などに限定されているため、信用情報機関に加盟している会社であっても、応募者の選考のために信用譲歩を確認することはできないのです。

 

官報

債務整理をすると、官報に掲載されることがあります。

官報とは、国が発行する新聞のようなもので、毎日発行されています。

官報は誰でも購入・閲覧することができますので、会社側が官報を見て債務整理の事実を確認するのではないかという懸念があるかもしれません。

しかし、こちらも可能性は極めて低いと言えます。

まず、債務整理の中でも、官報に掲載されるのは個人再生と自己破産のみで、債務整理のケースとして一番多い任意整理では官報に掲載されることはありません。

また、官報を紙で購入する場合はもちろん有料ですし、現在はWeb上でも閲覧することは可能ですが、キーワード検索をする場合には有料のサービスとなっています。

クレジットカード会社などは、借金をしやすいターゲットを探すために官報の中の破産者情報などを有料サービスを使用してチェックしていることもあるようですが、一般的な企業では、官報の購入や有料サービスの利用をしていることは稀です。

もちろん可能性は0とは言い切れないですが、官報から債務整理の事実を知られてしまうリスクは非常に低いといえるでしょう。

 

マイナンバー・戸籍

マイナンバーや戸籍謄本などの公的証明書に債務整理の情報が載ってしまうのではないかと思われる方もいらっしゃると思います。

しかし、こちらも結論としては会社に知られることはありません

マイナンバーはいろいろな情報に結びついているものですが、少なくとも現時点においては、債務整理の情報はマイナンバー情報とは関係づけられておりません。

また、戸籍謄本は家族情報や死亡・婚姻などの記録はされますが、債務整理の情報などは決して記載されることはありません。

 

まとめ

債務整理をしても基本的に転職活動に影響はありません。

面接や履歴書などで会社に報告する義務もないので、会社に知られることはほとんどありません。

ただ、自己破産手続き開始〜免責許可決定までの間のおよそ3ヶ月〜1年は一定の職業・資格に制限がかかるので注意しましょう。