債務整理

貯金を残したまま債務整理できる?

豚の貯金箱と現金5

債務整理をすると貯金は没収されてしまうの?

債務整理をして、借金を減額できても、貯金がないとこれからの生活が不安ですよね。

この記事では貯金を残したまま債務整理ができるのか、という疑問を解決していきたいと思います。

債務整理ごとの残せる貯金額や財産も具体的にそれぞれ紹介していきます。

この記事をまとめると
  • 債務整理で貯金を残すことは可能
  • 任意整理は貯金を一切没収されないが、抵当権がついたままの財産は没収される
  • 個人再生は貯金を返済額以内残すことができ、住宅資金特別条項を使えばローンのある家も残せる
  • 自己破産は99万円以下の貯金を残すことができ、給料、退職年金、賞与等の4分の3も残せる

債務整理をしても貯金は残せる

家計債務整理をしても、ある程度の貯金を残すことは可能です。

債務整理をすると、財産の全てを返済に充てないといけないと思う方もいるでしょう。

しかしそれではその後の生活が立ち行かなくなってしまいます。

債務者の財産を残すことは、法律でも考慮されているので安心して下さい。

とはいえ、貯金を必要以上に残して返済額を減らしてもらうことはできません。

どの程度の貯金を残せるのかは、債務整理の手続によって異なります。

それぞれの手続でどのくらいの貯金が残せるのか、見ていきましょう。

 

任意整理で残せる貯金

 家計 お金のイメージ

任意整理で貯金を没収されることはない

任意整理で残せる貯金は、相手方との交渉によります。

個人再生や自己破産と異なり、任意整理は裁判所を挟みません。

法的な介入がなく、あくまで当事者同士の話し合いでの解決となります。

そのため強制的に財産が没収されることはありません。

取り決めた額での返済を続ける他は、自身の貯金を残しておくことができます。

 

貯金以外の財産には注意

貯金については上記の通りですが、家や車などといった財産については注意が必要です。

残せる財産というのは、あくまで自分が所有権ももっているものが対象となります。

例えば家のローンが残っており抵当権がついたままになっていると、金融機関が抵当権を実行することで家が競売にかけられてしまう場合もあります。

さらに車のローンが残っている場合は、所有権がローン会社である可能性があります。

もしそのローン会社に対して債務整理を行うとなれば、ローン会社は車を引き上げてお金に換え、それを返済に充てるかもしれません。

このように債務の残っているものについては、手放さなくてはいけなくなる可能性があるので注意しましょう。

 

任意整理は対象者を選択できる

任意整理は、債務整理をする対象者を自分で取捨選択できます。

つまり車を手放したくなければ、ローン会社に対して債務整理をしなければ良いのです。

これは個人再生や自己破産にはないメリットといえます。

 

個人再生で残せる貯金

貯金

個人再生で残せる貯金は返済額以内

個人再生で残せる貯金は、財産全て含めて減額された返済額以内です。

例えば500万円の借金が300万円になったとしましょう。

すると、残せる財産は300万円までということになります。

ここでいう財産とは、貯金の他に有価証券や保険・家や車といったものを含みます。

300万円相当の財産を手元に残せるということです。

もし手元にもっと多くの財産を残したい場合は、返済額を増やすしかありません。

500万円の借金を400万円に減額して、400万円手元に残すということは可能です。

 

住宅資金特別条項を使えばローンのある家を残せる

ローン返済途中の家がある方は、「住宅資金特別条項」を適用させることで今まで通り家を所有し続けることができます。

この制度は個人再生にのみ使えるもので、「住宅ローン特則」とも呼ばれます。

適用の条件は以下のとおりです。

  • 家の建設・リフォーム・購入において分割払いを定められている債権であること
  • 対象住宅に住宅ローン債権(または保証会社の求償債権)を被担保債権とする抵当権が設定されていること
  • 対象住宅に住宅ローン以外の担保権設定登記や差押登記がないこと
  • 対象住宅が、本人の所有するものであること
  • 対象住宅が、本人が居住するためのものであること
  • 保証会社による代位弁済後、6ヶ月以内であること
  • 本人が対象となる住宅の所有者でなくなる見込みがないこと

これらの条件を満たしていれば、住宅資金特別条項を適用できます。

 

自己破産で残せる貯金

自己破産で残せる貯金は諸条件あり

自己破産で残せる貯金には、以下のような複数の条件があります。

  • 99万円以下の現金
  • 破産手続開始決定後の収入
  • 給料、退職年金、賞与等の4分の3

現在仕事に就いておらず無収入の場合や、破産手続開始決定後の収入もない場合、残せる貯金は99万円以下です。

それ以外の貯金は全て返済に充てられることになっています。

自己破産は自身の借金を0円にできるという、債務者を守る手続きです。

しかしそれを行うには、貯金をできるだけ使って返済をしなくてはいけません。

 

自己破産で残せるその他の財産

自己破産で残せるのは貯金だけではありません。

以下のような財産も手元に残すことができます。

  • 差押え禁止財産
  • 破産管財人が放棄した財産
  • 自由財産の拡張により許された財産

差押え禁止財産とは、生活するうえで最低限必要な財産です。

先程ご説明した「給料、退職年金、賞与等の4分の3」というのも、この差押え禁止財産に含まれます。

その他には以下のようなものが差押え禁止財産に含まれます。

  • 生活に無くてはならない衣類や家電など
  • 農業や漁業などの仕事に必要な器具など
  • 1か月の生活に必要な食料と燃料

また、破産管財人が放棄した財産も手元に残すことができます。

さらに破産手続き開始決定から1か月の間、債務者の生活状況に応じて自由財産の拡張を行うことができます。

これにより考慮された財産は、手元に残すことができます。

 

まとめ

債務整理後も一定の貯金・財産を残すことが可能です。

残せる貯金額・財産は債務整理の手続き方法によって異なりますが、生活するうえで最低限必要なお金・財産は残せるようになっているので、安心して債務整理をすることができます。

抵当権のついている財産には注意が必要です。